「入院友達が死んだ」
2006年2月26日 こないだまで仕事が忙しくて、クリニックのDC(デイケア=酒を飲まない為に10時から4時迄院内で過ごし、ミーティングやプログラムをやる)に出てなかったんだが、1ヵ所事業所を辞めて仕事を減らしたから、今月から休みの日に週に2、3回行く事にし
た。
去年の年末に行ったきり、今年は初めてだったんで、みんな俺が酒飲んで来れなくなったと思ったらしい。そーゆーパターンで、年末年始から飲み出して止まらなくなり、入院したり、死んだりする人が結構いる。
最近退院したKさんが「Tさん(俺)、Sさんて知ってる?」と聞いたんで、「知ってるどころか同室で仲良くしてましたよ」と答えた。するとKさんが「俺も最近知ったんだけど、去年亡くなったみたい。詳しい事は分からないけど」と言った。俺は愕然としてし
まって、しばらく茫然としていた。
Sさんは3年前俺が入院してた時同室で、俺の隣だった。俺より2つ年上で、若い頃はヘビメタのバンドをやっていた。入院中もギターを持って来て、よく練習していた。俺とも気が合い、俺は兄貴の様に慕っていた。俺より少し先に退院して、元の印刷屋の仕事に戻ったが、しばらくして、夜に酔っぱらって俺の部屋に来た。Sさんは「また飲んじゃったよ。もう駄目だ俺」と泣き出した。その時同室のIさん(50代のオッさん)もいたんで、「そんな事ねーよ。お前もまだ小さいガキ育てなきゃなんねーんだから頑張れよ。お前なら大丈夫だ」と励まし、Sさんは帰って行った。
それから俺も退院して、クリニックのDCに出る事になった。しばらくしてSさんから電話があり、「昨日俺のおふくろが首吊って死んだ。俺もう駄目だ。死ぬ」と言うんで、これはヤバいと思い、「Sさん、絶対に死なないで下さいよ!早まらないで下さい!Sさんが死んだら俺はどーすんすか!Sさんはいーかも知んないけど、俺悲しいっすよ!だからそんな事言わないで下さいよ〜!」と何とかなだめた。それでも心配だから、奥さんの携帯に電話したが、出なかったんでメールした。
それ以来電話は無かったから、安心してたら、俺の内科の診察の時に、Y先生(入院先の内科担当。週1回うちのクリニックに来る)が「同じ部屋だったSさん知ってるだろ?昨日また入院したぞ。君は大丈夫か?飲んでないか?」と言われた。Sさんは退院して1ヶ月もたたないで、再入院してしまった。
俺は休みの日に見舞いに行こうと思ったが、仕事も復帰したし、約2年振りに仕事に戻ったんで、体力が持たず、休みの日は疲れ果てて、見舞いに行くどころじゃなかった。
それ以来Sさんとは音信不通になってしまった。
そんで俺がDCに行き出したら、こんな情報が入って来る。去年は2人死んだ。1人は再飲酒。もう1人は自殺。しかも切腹だ。DCはこんなもんだが、AA(アルコホーリック・アノニマスの略。匿名のアルコール依存症の意。日本の断酒会みたいなもの)のミー
ティングなんかに行ってたら、こんな情報はゴロゴロある。あいつが入院した。あいつが滑った(再飲酒=スリップ)。あいつが死んだ。あいつは離婚した。酒は飲んでないがヤクやり出した。などなど、ロクな情報が入って来ない。
Sさんの死因は分からないが、酒か、自殺か、バイクも乗ってたから、飲酒運転で事故ったかも知れない。奥さんにメールしてみたが、返事は来なかった。奥さんからすれば、何を今さらって思ったんだろう。
あーあ、去年の12月は友達のTさんが自殺したし、Sさんも死んじゃったし、毎年知り合いが死んでくなぁ。まぁDCやAAに関わってりゃ、そんな事当たり前なんだけどね。
Tさんは酒とは関係ないけど、自殺したショックで、俺は酒飲んじゃったけど、Sさんが死んでショックだったけど、酒は飲まなかった。とゆうより、怖くて飲めなかった。人事ではないからだ。明日は我が身なのだ、アル中は。俺はまだ死にたくないから、もう飲まない。酒に溺れて死にたくない。そんな死に方は御免だ。
おしまい
た。
去年の年末に行ったきり、今年は初めてだったんで、みんな俺が酒飲んで来れなくなったと思ったらしい。そーゆーパターンで、年末年始から飲み出して止まらなくなり、入院したり、死んだりする人が結構いる。
最近退院したKさんが「Tさん(俺)、Sさんて知ってる?」と聞いたんで、「知ってるどころか同室で仲良くしてましたよ」と答えた。するとKさんが「俺も最近知ったんだけど、去年亡くなったみたい。詳しい事は分からないけど」と言った。俺は愕然としてし
まって、しばらく茫然としていた。
Sさんは3年前俺が入院してた時同室で、俺の隣だった。俺より2つ年上で、若い頃はヘビメタのバンドをやっていた。入院中もギターを持って来て、よく練習していた。俺とも気が合い、俺は兄貴の様に慕っていた。俺より少し先に退院して、元の印刷屋の仕事に戻ったが、しばらくして、夜に酔っぱらって俺の部屋に来た。Sさんは「また飲んじゃったよ。もう駄目だ俺」と泣き出した。その時同室のIさん(50代のオッさん)もいたんで、「そんな事ねーよ。お前もまだ小さいガキ育てなきゃなんねーんだから頑張れよ。お前なら大丈夫だ」と励まし、Sさんは帰って行った。
それから俺も退院して、クリニックのDCに出る事になった。しばらくしてSさんから電話があり、「昨日俺のおふくろが首吊って死んだ。俺もう駄目だ。死ぬ」と言うんで、これはヤバいと思い、「Sさん、絶対に死なないで下さいよ!早まらないで下さい!Sさんが死んだら俺はどーすんすか!Sさんはいーかも知んないけど、俺悲しいっすよ!だからそんな事言わないで下さいよ〜!」と何とかなだめた。それでも心配だから、奥さんの携帯に電話したが、出なかったんでメールした。
それ以来電話は無かったから、安心してたら、俺の内科の診察の時に、Y先生(入院先の内科担当。週1回うちのクリニックに来る)が「同じ部屋だったSさん知ってるだろ?昨日また入院したぞ。君は大丈夫か?飲んでないか?」と言われた。Sさんは退院して1ヶ月もたたないで、再入院してしまった。
俺は休みの日に見舞いに行こうと思ったが、仕事も復帰したし、約2年振りに仕事に戻ったんで、体力が持たず、休みの日は疲れ果てて、見舞いに行くどころじゃなかった。
それ以来Sさんとは音信不通になってしまった。
そんで俺がDCに行き出したら、こんな情報が入って来る。去年は2人死んだ。1人は再飲酒。もう1人は自殺。しかも切腹だ。DCはこんなもんだが、AA(アルコホーリック・アノニマスの略。匿名のアルコール依存症の意。日本の断酒会みたいなもの)のミー
ティングなんかに行ってたら、こんな情報はゴロゴロある。あいつが入院した。あいつが滑った(再飲酒=スリップ)。あいつが死んだ。あいつは離婚した。酒は飲んでないがヤクやり出した。などなど、ロクな情報が入って来ない。
Sさんの死因は分からないが、酒か、自殺か、バイクも乗ってたから、飲酒運転で事故ったかも知れない。奥さんにメールしてみたが、返事は来なかった。奥さんからすれば、何を今さらって思ったんだろう。
あーあ、去年の12月は友達のTさんが自殺したし、Sさんも死んじゃったし、毎年知り合いが死んでくなぁ。まぁDCやAAに関わってりゃ、そんな事当たり前なんだけどね。
Tさんは酒とは関係ないけど、自殺したショックで、俺は酒飲んじゃったけど、Sさんが死んでショックだったけど、酒は飲まなかった。とゆうより、怖くて飲めなかった。人事ではないからだ。明日は我が身なのだ、アル中は。俺はまだ死にたくないから、もう飲まない。酒に溺れて死にたくない。そんな死に方は御免だ。
おしまい
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