その78 「何か不思議だ」

　今日のフリーマーケットは同じ会社の知り合いに運転頼まれて、手伝いをするってんで、俺はその知人しか知らないんだが、後から男一人と女二人が手伝いに来た。

男は俺と同じ年で、女は三十二歳と二十五、六歳だ。若い女はほとんど喋らなかったが、三十二歳のナイスバディねーちゃんはヘビメタ
好きで、今時珍しいなと思い、からかってたんだが、彼女の顔には、ブラック・ジャックまではいかないが、それに近いくらいの傷があった。後で知人に聞いたんだが、子供の頃に火傷をして人の皮膚を移植したそーだ。

　でも目茶苦茶元気でルックスもいーのだ何なんだ？子供の頃から顔に傷あって、何であんな元気なんだ？

まー初対面だから、今まで散々な目にあってきてるハズだ。

たかだか背中に十七針の傷があるだけで、大騒ぎに
なって、プールの時間凄ぇヤダったもんな。だから俺は今だにまともに泳げない。今となっては背中十七針、足十五針、眉四針、計三十六針、こないだまで俺の歳まで傷あったかんね。

歳ごとに俺は傷が増えていくのか？
まーそんな事はどーでもいー。

俺なんてまだ傷を服で隠せるからまだマシだ。

彼女は隠しよーがないのに元気でやってる。そりゃー一人になれば泣いたり、わめいたりするだろう。でも人前では彼氏（いるそーだ。しかもDJ）か親くらいしかいないだろう。

　それにつけ五体満足なくせに、頭は子供の大人が多すぎる。

あーあ。

介助者より障害者の方が大人のケースってあるんだよね。

この先俺は仕事に復帰出来るんだろーか？

大丈夫。

ヘビメタ・ブラック・ジャックねーちゃんみたいな人がいる限り、俺は立ち直れる。

終